Webサイトを作成するには必ずドメインが必要です。多くの人に見てもらうためには、独自ドメイン名の登録は欠かせません。
ドメインとは何か?なぜ独自ドメインが必要なのか?から登録業者の選び方、そして、ドメイン移管まで一挙に解説します。
ドメインの知識はこれだけあれば十分です。Webの入門編としてご覧ください。
『インターネットって? Webって何?』くらいの人に向けて解説します。
大丈夫です。必ず理解できます。ITの仕事をしていても、分かっていない人もいます。
(Webに関わる人では基本です。)
それくらいの内容を解説します。ちょっと長めです。7分ぐらい時間がかかりますが、最後までお付き合いいただければと思います。
ドメインはインターネット上の名前
ドメインはインターネット上の名前です。
みんな生まれたとき親などに名前をつけてもらいます。それと同じで、インターネットにWebページを公開する(誕生させる)には名前が必要です。
必ず世界で1つだけの名前をつけます。インターネット上の住所のようなものにIPアドレスがありますが、これはずっと同じではありません。
人間でも、全員が3ヶ月毎に引っ越しをしていたら『佐藤さん』と言っても『どの佐藤?』ってなりますよね?
法人や個人事業者にとってはブランド名にもなります。一度つけた名前はふつうは変えないです。
ブラウザのurlに表示される"https://xxx.com/abc"の"xxx.com"がドメイン名です。
"https://"のすぐ後ろから"/"までがドメインになります。
『ドメインパワー』ということばがあります。
長年使われていたり、アクセス数を稼ぐようなドメインには『力』がつきます。
『パワー』のあるドメインは、検索サイトで上位に上がりやすくなるので『パワーがついた』と表現します。
最初から『パワー』のあるドメインを使いたいために『中古ドメイン』を買う人もいます。
ドメインは売買されています。
あと、DNSは知っておく必要があります。
ドメインネームシステム(Domain Name System)です。インターネットは、ドメインではなくIPアドレスで各コンピューターを特定します。だから、
〇〇の住所(IP)には△△(ドメイン)が住んでいる
という情報が必要です。
それを行なっているのがDNSです。じっさいはDNSサーバーという専用サーバーがあって、そこにアクセスして住所(IP)と名前(ドメイン)を検索します。
ドメインを登録するときにDNS設定は必ず行なうので、ドメインとセットで覚えると良いです。
コンピュータはIPが大事でドメインは使いません。ドメインは人間が読みやすくするためにあります。
URLに『192.168.11.101』と表示されても困りますよね? このように、数字とドット(.)で表現されるのがIPです。
(最近は数字、アルファベット(a-f)とコロン(:)を使います。)
レンタルサーバーは賃貸マンション
『突然なにを言っているんだ?』と思うかもしれませんが、『ドメインは名前』に対するレンタルサーバーのイメージです。クラウドでもかまいません。
ぼくが勝手にイメージをつけました。
サーバーは、条件が変わればハイスペックで料金が高いものに変更します。また、より良い条件のサービス会社へ移動するので、マンションの引っ越しのようなものです。
『ドメインは名前』『サーバーは賃貸マンション』。この関係は、ドメイン登録の方法を選ぶところで影響します。
ドメインとサーバーとの関係を言いたかったので、いきなり話が脱線しましたが元に戻します。
ドメインには名字(gTLD, ccTLD)がある
これは名字みたいなものです。所属している組織・団体などの属性を表します。gTLDは『ジェネリック・トップレベルドメイン』の略です。
もうひとつ、国や地域の所属をあらわすトップレベルドメインのccTLDがあり、
『カントリー・コード・トップレベルドメイン』の略です。
- jp -> 日本
- co.jp -> 日本の企業(正確にはトップレベルでない。jp所属)
- com -> 営利団体。いまは誰でも使える(迷ったときcomにしておけば無難)
- org -> 非営利団体。学校とか研究所、開発コミュニティなどで使われる。
最近は、ユニークな属性も増えています。
- ai -> AI(人工知能)関連。『あい』と読んで女性向けに多く使っているらしい。
- work -> なんでもになっている。最初の意味すら分からない。
- xyz -> アルファベットの最後の並べただけ。値段が安い。
IANAという組織で管理・運営されています。
gTLD, ccTLDは、大雑把なイメージとして『信頼性』です。
com, orgはオーソドックスで信頼されています。あと日本では、jp, co.jpも信頼性が高いです。
値段が安いものは、
- 金儲けさえできれば内容は嘘でもなんでもいい
- 長く使うつもりがないから使い捨てでいい
などのサイトにも使われるので、印象が良くありません。
(絶対ではありません。イメージです。)
(また、.jp, .com, co.jpが絶対に安心・安全とは言い切れない。)
独自ドメインは必要なのか?
独自ドメインがなくても、Webサイトを公開するサービスはいくらでもあります(しかも無料で)。でもそれらは、ぼくらが頑張って作ったものが、大きな組織が提供するサービスの1コーナーになってしまいます。
飲食店を経営することを考えると分かります。
店舗はフランチャイズの本部が用意してくれます。仕入れ先も決められています。でもそれ以外は全部自分で決めます。
- 店名
- 店舗の内装
- メニューの内容・値段
- 営業時間
- 従業員の数・給与
- 希望すれば独自のルート
まで全部です。フランチャイズではこれらを1からする必要はなく、いろいろなオプションを選択する形になっています。自分で決めるというよりは『自分で選ぶ』ですね。
でもこれで、売上の30%は本部に行くことを納得できますか?手厚いサポートはほとんどが最初だけなのに。
最初の店舗探しと、オプションを用意してもらったこと、お客の呼び込みを任せただけでです。(最初のお客さんはすぐに集まるメリットはあります。)
どんなに努力しても、長い間頑張っても、ずっと利益の一部は払いつづけます。
これなら自分で店舗を探したほうが良いです。そして、Webサイトではちょっと勉強すれば誰でもかんたんにできます。
(デザインだって無料で使えるものはいくらでもある。)
独自ドメインを持つことは、最初は面倒かもしれませんが、大きく成長する力をもっています。
そして、自分の努力がすべて自分のブランドに反映されます。
(ただし、悪い意味でも反映されます。)
フランチャイズでは、自分の努力は本部の利益が大きくなるだけで、手元に残りません。
本部の都合で店舗移転、最悪は閉店になる場合もあります。
インターネット上に公開することは、自分の存在を知ってもらうことですから、独自ドメインを持たないことは大きな損失でしょう。
ドメインを登録するのはレジストラ
人でも、勝手に名乗る名前は身内で通用しますが公の場では通用しません。
ドメインも同じです。自分で作ったらインターネット上で認められないといけません。勝手に名乗るだけではあなたの作ったWebページはだれにも見えません。
作ったドメインをインターネット上で使えるように登録する必要があります。その業者をレジストラと言います。
『ドメインを取得する』『ドメインを買う』というのは、レジストラにドメインの登録を代行してもらうことです。
ICANN公認のレジストラは日本では10数社しかありません。
ICANNは、1998年に設立されたインターネットのIPアドレスやドメイン名などのリソースを管理する非営利団体です。
インターネットが爆発的に普及したので、数に上限があるドメイン名を管理する必要が出てきました。そのために設立された団体です。
日本では次の3つのレジストラ以外は、直接使うことはありません。
- お名前.com(GMOインターネット)
- ゴンベエドメイン(インターリンク)
- スタードメイン(ネットオウル)
お名前.comは国内で1番有名なレジストラです。
ゴンベエドメインは聞いたことがないと思いますが、扱っているドメインの種類が日本で1番多い業者です(700種類以上)。種類とは、".jp"とか".com"のトップレベルドメインのことです。
お名前.comで探して無い時→ゴンベエドメインという流れが多いです。お名前.comでも550以上の種類があるので、ゴンベエドメインはこだわりの強い人向けです。
スタードメインはあまり聞きませんが、エックスドメインは聞いたことがあるかもしれません。
エックスドメインは、人気レンタルサーバーのエックスサーバーの会社が運営しています。エックスサーバーを契約するときにセットでお得についてくるドメインを扱っているのがエックスドメインです。
エックスドメインはスタードメインの代理店みたいなもので、レジストラではありません。リセラー(再販業者)と呼ばれます。
たしかにこの2社はお名前.comと並んで有名でしたが、いまは同じGMOグループで、お名前.comのリセラーという位置づけです。
この3つのレジストラ以外は、リセラーを通して使われるので、あまり知られていません。
リセラーよりも、レジストラの方が費用が安い傾向にあります。直営店なので当然かもしれませんが。
(絶対ではありません。リセラーでもサービスが直営店に負けていない時もあります。)
ドメイン登録業者の選び方
たしかに、業者はたくさんありますね。でもパターンは次の2つです。
- レンタル(クラウド)サーバーとセットで契約
- ドメインとサーバーは別々に契約
かんたんにいうと、セット契約はまとめてできて便利。(初心者向け)
別々に契約する場合は、最初が面倒だけど長い目で見て運用しやすい。複数のドメインを管理する場合は一括で管理できる。また自由度が高い。(中級者以上向け)
セット契約は、テレビ・HDD一体型とか、テレビに録画機能が付いているものがありますが、イメージとしてはそんな感じです。(具体的にはぜんぜん違いますが。)
まとめられているので、個別の対応は期待できません。
個別の対応ができるのか各サービス会社に確認が必要です。
レンタルサーバーとセットで契約
初心者はこの方法が一番かんたんです。レンタルサーバーの契約の中に、独自ドメインのオプションがついていることが多いからです。
最近は『ずっと無料ドメイン1個プレゼント』とかあるのでおススメです。
ドメインは『名前』です。レンタルサーバーは『賃貸マンション』です。
よっぽどこだわりがなければ、婚姻届けなど、どの役所で手続きするのか悩む人はいないでしょう。『近所でいいや。早いし。』です。
でも、住むところは違います。
- 値段
- 間取り
- 設備
- etc...
考えることは結構あります。ほとんどの人は何かしらこだわりがあります。
レンタルサーバーも同じです。考えることがいっぱいあります。そして、ぱっと見の説明だけでは違いが分かりません。調べる時間も必要です。
ただし、引っ越しをするときに役所に転出・転入届をすることもあります。ドメインにもあります。ドメイン移管です。
最悪なのは、ドメインの種類によってはサーバー解約と同時にドメインも使えなくなることがあります。それには注意が必要です。
(値段が安いもの(.xyzなど)が使えなくなるリスクが高い。)
サーバーについているドメインは、サーバーを解約したらどうなるのか確認しておきましょう。『ドメイン移管できます』だったら大丈夫です。
ドメイン移管の流れ
レジストラやリセラーは、ドメインの管理業務の代行もしています。その管理業務を別会社へ移動するのがドメイン移管です。スマホの乗り換えみたいなものです。
手順は各社で違いますがだいたいこんな感じです。
移転する前にすること。(手続きは移転元)
- DNSオプションをつけている場合、サービス内容を確認。(DNSサービスのすべてが移転先でも使えるか分からないので)
- 移転元のレジストラ・リセラーに、ドメインが移管できるか確認。
- 移転元から移転コードを発行してもらう。
- Whois情報のメールアドレスを確認。(移転のやり取りに使う)
- Whois情報の代行をしている場合、Whois情報を自分のものに更新する。
まだ移転は終わっていません。移転元に意思を伝えただけです。
移転作業。(手続きは移転先)
- 移転先のレジストラ・リセラーのドメイン移管方法を確認。
- 移転先にドメイン移管申請をする。(移転コードを使う)
- 移転先から移転元へ移管の通知(レジストラ・リセラー同士で行う。利用者は結果を待つだけ。)
作業はまだ終わりません。
移転後の設定作業(手続きは移転先)
- 移転先でDNSオプションもつけるなら設定する。
- 数日から2週間くらいで移管完了
これでやっとドメインの移管がおわります。
結構しんどいです。だから『サーバー付属のドメインは移管できるか?』が大事になります。
ドメインの登録者(保持者)を変更することをドメイン移管と呼ぶ人がいますが、この場合は正確には『ドメイン譲渡』です。
ドメイン譲渡は、ドメイン登録サービスで、ドメインを管理しているアカウントを変更します。
ドメイン移管とドメイン譲渡はまったくの別物です。
Whois情報ってなんだ?
インターネットに公開されたドメインは、所有者情報を公開する義務があります。『公に出る場合は何者か名乗れ!』ということですね。
氏名(法人名)、住所、メールアドレスなどです。
個人の場合は危険です。個人情報が世界中にだだ漏れです。だからWhois情報代行というサービスがレジストラ・リセラーにはあります。
これを使うと、Whois情報にはレジストラ・リセラーの所有として公開されます。
法人の場合は使ってはいけません。会社の正体を隠すのは違法の匂いがします。せっかくいいサイトを作っても信頼されません。
厳格ではありませんが、インターネット上の登記のようなものです。個人の場合は必要ないので代行サービスを使うのがふつうです。
管理画面で自由に変更できる業者もありますが、法人が変更するとき、関係書類の提出を求めることがあるくらい重要なものです。
ドメインとサーバーはそれぞれの契約が1番良い
ちょっとまって! 一応最後まで説明させてください。次のタイプが1番環境としては良いので。
別々に契約するメリットは、『サービス提供会社を変えやすい』です。
ドメインとサーバーの本業同士の組み合わせなので、選び方が適正なら安定感は抜群です。
管理アカウントは最大でも2つ(サーバー・ドメイン)なので管理できないことはないでしょう。そして、事業者にとってはリスクヘッジにもなります。
いま世に出ているレンタルサーバーの業者は、余程のことがない限りサーバーがダウンすることはありません。稼働率が99.9%くらいあります。
でも、絶対に起きないことはありません。起きたときの対処は自分ですべきです。対処方法はすばやく業者を移転することです。
サーバー業者の復旧作業は、数時間で終わることもあれば、数日かかることもあります。これは起きてみないと分かりません。
商売をしている人にとっては、数日間の利益が0になるので死活問題ですよね?
そんなに乗り換えるものではありません。ただ、レンタルサーバーの業者は競争が激しく、お得なところがコロコロ変わります。ドメイン移管でも言いましたがスマホみたいなものです。
商売をする人にとっては、固定費を抑えることやコストパフォーマンスの重要性は分かると思います。そういう意味では、乗り換えは一度は経験すると思ったほうがいいです。
ドメインを別契約する場合のサーバー移転作業は、
- 新しいサーバー業者の契約。
- 持っているドメインを新しいサーバーの管理画面で設定。(DNS設定も)
- 古いサーバーを停止。(できなければドメイン設定を空白などにしてアクセスを遮断。DNS設定も中断や空白にしておく。)
- 古いサーバーの解約。
のようにします。こういう経験は、一度でもあるのとないのとでは雲泥の差があります。
慣れると数分でできるようになります。最長でも1日くらいで設定内容は反映されます。
DNSサービスについては、くわしいことはここでは触れません。専用サービスにするメリットがないからです。
ちなみに、ぼくはMyDNSという無料サービスを使っていますが、メリットはないです。
ドメインのDNS設定でサブドメインも作れますからね? 無料で。とくに不都合はないでしょう。
レジストラのDNS設定は、デフォルトで設定されることが多いです。サブドメインを作るなどの専門的なこと以外は何もする必要はありません。
サブドメインは、"sample.com"に"aaa.sample.com"という新しいドメインを作ることを言います。主ドメインの左に追加されます。
1つのドメインから複数のサブドメインをつくり、複数のウェブサイトを運用したり、ウェブサーバー・メールサーバー・ファイルサーバーをサブドメインで分けて運用する場合に使います。
レンタルサーバーでドメインをセットで契約したら、サーバーの設定画面は、ドメイン・DNS設定がデフォルトで設定されています。
独自ドメインを使う場合は、サーバーの設定画面でドメイン・DNSの設定を手動で行ないます。