プログラム言語のPHPには、リリースしてからある一定期間、サポートがあります。バグの修正やセキュリティパッチのリリースです。
また、マイナーバージョンのリリースを年1回行っています。(数年おきにメジャーアップデート。)
公式サイトの情報から、最新のPHPのバージョンとサポート状況を表にまとめます。
PHPのサポートは3年
まずは、PHPのサポート・サイクルとバージョン番号の振り方から。
PHPのサポートは3年です。最初の2年はバグ修正やセキュリティの対応、残り1年はセキュリティ対応のみ。
メジャーバージョン | マイナーバージョン | パッチバージョン | ||
---|---|---|---|---|
7 | . | 4 | . | 0 |
大きく変わるときに上がる。 | 小さな機能追加など。 | セキリティパッチ。 バグ対応。 etc... 機能追加はない。 メンテナンスバージョン。 ビルドバージョン。 |
PHPでは、2番目の数字が変わるとサポートがはじまり、サポート期間内は3番目の番号だけが変化します。
また、マイナーアップデートは1年ごとにリリースされ、2番目の数字は翌年に変わり、サポートが終了する頃には3段階上のバージョンがリリースされます。
b : bug
s : security
so: security only
release
|-- b,s --|-- b,s --|-- so --|
release
|-- b,s --|-- b,s --|-- so --|
release
|-- b,s --|-- b,s --|-- so --|
release
|-- b,s --|-- b,s --|-- so --|
翌年がメジャーアップデートだと1番目の数字も変わる。
じつはPHPは、毎年新しいバージョンがリリースされているんですね?
それだとついていけないので、2年の猶予がサポート期間として設けられています。
PHPのバージョンの話をするときに
『7.1系が~』
『次期バージョンの8が~』
などとよく聞くのはこういうこと。
(3番目の番号が変わってもサポート期間に影響しないし、機能の変化がないので話題になりにくい。)
バージョン番号は連番とはかぎりません。
リリース予定がなくなって、さらにあとのバージョンに延期・統合したりすると番号が飛びます。
(たとえばPHP6はない。)
きっちり1年後に次期バージョンがリリースされるとかかぎりません。スケジュールが延びたり、早めたりするので。
さすがに年をまたぐことはありませんが。
((西暦)年毎に1回のリリース。)
最新のサポート状況
バージョン | 最初の リリース | サポート 終了 |
---|---|---|
8.1 | 2021/11/25 | 2024/11/25 |
8.0 | 2020/11/26 | 2023/11/26 |
7.4 | 2019/11/28 | 2022/11/28 |
7.3 | 2018/12/6 | 2021/12/6 (終了) |
7.2 | 2017/11/30 | 2020/11/30 (終了) |
7.1 | 2016/12/1 | 2019/12/1 (終了) |
7.0 | 2015/12/3 | 2019/1/10 (終了) |
5.6 | 2014/8/28 | 2018/12/31 (終了) |
5.5 | 2013/6/20 | 2016/7/21 (終了) |
5.6系は、サポート期間が3年を大きく超えました。7系の変更があまりに大きく対応が大変で、バージョンアップに躊躇した人が多かったから。
そのへんは融通してくれます。ただし期待してはいけません。
(かといって次期バージョンの毎年リリースは崩さない。)
5系はすでに終了している。
7.2はサポートが切れている。
と聞いて『え?』と思う人もいるではないでしょうか?意外とサポートが切れているものを使っている人も多いです。
フレームワークやCMSの対象バージョンで安心してはいけない
LaravelなどのフレームワークやWordPressなどのCMSは、PHPの最小バージョンが古いことがあり、そのPHPバージョンはサポートが切れていることがあります。
PHP7.1はサポートが切れている。
と聞いて『えっ?』と思った人は、WordPressやLaravelなどの動作環境をみて、『うん。大丈夫。』にしている人。
たとえば最新バージョンのWordPress5.9は、PHP5.6.20も対象バージョンに入っています。サポートが切れているのに。
フレームワークやCMSは、なかなかバージョンを上げられない人のために、対象バージョンを広げているだけで、それがPHPプログラムの安全性を保証しているわけではありません。
正常に動くことだけを保証しています。
推奨環境をよく見よう
もちろんですが、PHPの最小バージョンのフレームワークやCMSは、セキュリティーホールが放置されているかもしれないので、システムのセキュリティが甘いです。
だから、対象バージョンのほかに『推奨環境』というおすすめのバージョンが別にあります。
推奨環境は大事です。これがサポート切れしていることはありません。
フレームワークやCMSはPHPのアップデートは強制しないけど、安全に使える環境を『推奨』しています。
ほんとうはPHPプログラムのバージョンも確認してほしいですが、最低限、つねに推奨環境にしておきましょう。