なぜ日本国憲法は国民の義務より権利が多いのか?

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連載
日本国憲法を読む。 Vol.4

日本国憲法はなぜ国民の義務より権利が多いのでしょうか?

自民党は国民の義務を増やそうと考えていますが、権利が多いのには大事な意味があります。

それについて考えます。

前に、国民に憲法を守る義務はないと言いました。

 
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でも、国民の三大義務”ってあるよね?

というツッコミをした人もいるかもしれません。たしかに憲法には、いわゆる勤労納税教育の義務があります。

”国民の三大義務(勤労・納税・教育)”って憲法で国民を縛っているんじゃないの?

日本国憲法に書いてある義務は、憲法が国民に対して『義務を果たせ!』と強制していません。(だからと言って義務はないとも言えません。)

”国民が義務を果たせるように法律を作って、環境を整備しなさい”と権力を行使する側に強制しいます。

じっさい、憲法に書かれている国民の義務を果たさないと、罰則がある法律はたくさんあります。でも、義務を果たさない国民が、罰則を受けずにスルー出来るものもあります。

これを、行政の怠慢だと言えるでしょうか?ぼくは、憲法では直接国民に『義務を果たせ』と言ってないと考えます。

国民の義務は、権力の責任で、法律でコントロールするものだと思います。

国民の義務で一番有名な”国民の三大義務”でそれを見てみましょう。

第26条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
第3章 国民の権利及び義務

これが教育の義務。

第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
第3章 国民の権利及び義務

これが勤労の義務。

第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
第3章 国民の権利及び義務

これが納税の義務になります。

ニート、無職、ホームレス、生活保護受給者は憲法違反なのか?

おそらく中学校以来、30年ぶりに日本国憲法を読んでみて気づいたことがあります。

『国民には働く義務がある前に働く権利がある』ということです。

義務の前に『勤労の権利を有し』とあるので、義務よりも権利を強調していることになります。この権利は、働く意思を示した国民に、正当な理由なく『お前は働かせない!』と言えないと解釈できます。

そして、権利と義務の具体的なことは書かないで、後ろの項目に『法律(労働基準法)に従う』『子供に労働させてはならない』と続きます。

ということは、権利と義務のくわしい内容は、労働基準法に従ってくださいと言っていることになります。だって、『章や条』のくわしい内容が中の『項』にあると見るのが、日本語の構成ですよね?

これは、『国民は働かないといけない』という義務があるとは言えません。

この文章を素直に読むと、『働く権利を行使した人は、労働基準法の範囲内で義務があって、子供に働かせない義務もある』になります。

だから、ニートや無職、ホームレスに対して『憲法違反だ!』と言う人はいないんですね?世間の冷たい目、蔑みはあるかもしれませんが。

 
No Image Person

でも、納税していないから憲法違反では?

という声にはどうでしょう。これの答えはかんたんです。

納税の義務は『法律のルールに従って』という条件がついているので、収入がなければ納税する義務もありません。

働いていない人に対して、地方自治体、厚生労働省、政府が何もしなければ、それらが憲法違反だと言えなくもないですが、ハローワークとかあるので問題ありません。

もし納税の義務を怠ると、国民は脱税で捕まって犯罪者になりますが、これは正確には法律に違反しているからです。憲法違反で犯罪者になるわけではありません。

フリーター、専業主婦は憲法違反なのか?

世間では働いていないと思われることもあるフリーター、専業主婦はどうでしょうか?

フリーターは、年収が20万を超えると個人事業とみなされるので違反にはなりません。

専業主婦は、法律上、世帯主が一緒に納税するので違反ではありません。

そもそも、フリーターも専業主婦も、企業と雇用契約を結んでいないだけで、働いていないわけではないので、憲法違反と言われる筋合いはありません。

不労所得は憲法違反なのか?

不動産の賃料収入や、投資・投機など、『不労所得』で食べている人は憲法違反なのでしょうか?

これは憲法違反にはならないでしょう。このような人々を『働いていない』としているのは、周りの働いている人とくらべて労働時間が極端に少ないからです。

  • 誰に貸すのかを決めて行動する
  • どこに投資するのかを決めて行動する
  • 業者に丸投げしても、打ち合わせはする

など、必ずなにかの作業はします。これを『働いていない』理由にはできません。

それに、不労所得の人は、高収入であればあるほど納税をたくさんしています。憲法違反になるわけがありません。

不登校の子供を持つ親は憲法違反なのか?

引きこもりで学校に通えない子供を持つ親のことを、憲法違反とは言いません。いろいろな理由で、子供に義務教育を受けさせない親に対する罰則規定もありません。

あまりにひどいと、国家運営が危機的状況だと判断され、法律で罰則規定を設けることになる可能性はあります。
(憲法違反ではない)

今は、義務教育を受けとかないと、社会でまともに生きていけないという一般的な感覚があるので良いですが、その感覚が崩壊したときは危険です。そうならないように気を付けたいものです。

日本国憲法はなぜ、国民の義務より権利が多いのか?

日本国憲法では、国民の義務に関する条文より圧倒的に権利の条文が多いです。これには理由があります。

憲法には”権力の暴走を止めるストッパー”の役割がありますので、国民の義務は最小限に抑えられています。憲法に義務ばかり入れてしまうと、憲法の範囲内で権力がやりたい放題できるからです。
日本は自由主義社会です。
できる限り国民の権利を広く保証しようという考えがあります。だから国民の権利が多いのです。
それだけ憲法では、自由主義のもとで保証されている国民の権利を、権力者に対して保証しなさいと強制しています。

国民の三大義務(勤労、納税、教育)は一言でいうと、

国民は、働いてお金を稼いで、その一部を国家が運営できるように提供して、それを続けるために自分の子供に教育させる。

です。

憲法上、国民の義務はこれだけではありませんが、これでも結構大変です。ほとんどの人の人生の悩みの大半は、ここにあるように思います。

これ以上の義務を法律ではなく、憲法に書く理由はあるのでしょうか?ぼくには見当たりません。

憲法にこれ以上の義務を書こうと考える人は、権力がコントロールしやすいような抑圧的な社会を作りたがる中国共産党のような人か、潜在的に私欲丸出しの独裁者になりたい人でしょう。

ここで、憲法で義務よりもたくさんの権利が保証されているなら、結構好き勝手できるんじゃない?と思う人もいるかもしれません。

じつはそう好き勝手にできないようになっています。国民は法律を守ると憲法も守っていることになっています。

 

次回は、”国民は法律を守ると憲法も守っている” ことについて考えてみましょう。

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