連載
日本国憲法を読む。 Vol.8
今回は、憲法で『家族」を強制しようとする自民党議員たちの不見識とバランス感覚のなさ、それに伴う恐怖について考えます。
前回の自民党の第2次憲法改正草案のデタラメさがあまりにも多すぎて、投稿を分けました。前回の再編集版の後編です。構成は変えましたが内容はほぼ変えていません。
自民党第2次憲法改正草案 前文
まずは前回も見た、自民党の第2次憲法改正草案の前文をもう一度見てみましょう。
日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。
第二次自民党案
我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。
日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自らを守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いに助け合って国家を形成する。
我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を振興し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。
日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。
『家族』の押しつけはうっとおしい
『家族や社会全体が互いに助け合って』は、家族を押しつけてます。ひどいのは第24条でさらに後押ししています。
家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。
第二次自民党案 第24条
怖いです。家族は自然に出来ると思っています。これを考えた人は本当に家族がいるのでしょうか?
家族はいろいんなことがあってそれを乗り越えて出来るものです。男と女が婚姻届を出して、SEXして、中出しして、子供が生まれればそれでOKではないでしょう?
ぼくは独身で子供なし。実家を離れた生活を22年もしています。親子ではありますが、家族か?といわれるともう分かりません。
そういう人は社会の基礎的な単位にも当てはまらないのでしょうか?
日本社会を構成するメンバーとして認められないのでしょうか?
いまサザエさんを理想にされても
これを書いた人は、サザエさん一家が理想ですべての家族はそれを目指さなければいけないと思っているのでしょう。
今、家族の形がいろいろとある中で、こうも無理やり決めつけることができることがうらやましいです。
人生って、何も想像せず、何も考えないほうがいいのかもしれませんね?
『互いに助け合わなければならない』はどうしていいか分からない
言葉がありません。家族と助け合えと言われても、ぼくは、実家に帰る交通費が飛行機で、LCCを使っても往復で約4万円はかかります。
ほかだと、新幹線に乗っておよそ半日、そこから船に乗っておよそ11時間もかかります(片道)。今のご時世、何度か海外旅行にいけます。
これでどうやって助け合えというのでしょうか? 助け合えというなら、速く・安く実家に帰れるように交通インフラをどうにかしてほしいです。
そうかんたんにはいかない人が日本国民にいますけど?
『少数派だから知らない、そこまで考えてられるか!』ということでしょうか?
離婚は憲法違反!
身近なところでは離婚することは憲法違反になります。互いに助け合うことを強制されていますから。
夫婦のどちらかがどうしようもない人だったらどうしたらいいのでしょうか?
それでも互いに助け合うことを強制するのでしょうか?
どうしようもない両親の間に生まれた子供はどこに助けを求めればよいのでしょうか?
だんだん新種のデスノートに見えてきました。
第102条はトンチンカンのアンポンタン
前文ではありませんが
全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。
第二次自民党案 第102条
とあります。
みなさん意味が分かりますか?権力の暴走を止めるものに対して、権力をもたない人が尊重しなければならないって。
権力者が憲法を尊重するのが筋でしょう? 『誰が』と『どうする』の関係がめちゃくちゃです。
僕は日本人なのに、いつのまにか日本語を忘れてしまったのでしょうか。だれか教えてほしいです。
Help me !
今までと同じように拡大解釈して国民によけいな抑圧をかけようとしているのか?とうがったものの見方をしてしまいます。
というか、立憲主義がスッポリ抜け落ちているところが、どうしようもありません。
たったこれだけでお腹いっぱい
こういう、中学生より頭悪いんじゃないか?と思わせる内容が、いい大学を出て、中には弁護士資格を持っている人もいて、社会的ステータスもあって、普通の人よりお金も持ってて、権力者でっていう人たちが集まって作られています。
しかも、自民党のホームページに堂々と公表されています。
皆さんも時間があるときに見てみてください。10分もあればおかしなところが満載です。
自民党の第2次改正草案をさらに読んでいくつもりでしたが、前文と+αでこの状態です。とてもじゃないですけれどここでは書ききれません。
『憲法は権力の暴走を止めるストッパー』が分かっていない人は、今回で終わらせるつもりが終わりませんでした。できる限り次で終わらせようと思います。
もういいよ、次に行こうよと思うかもしれませんが、憲法改正をしようと言っている人たちがこうです。書かずにはいられません。
もう少しお付き合いください。次は、『憲法は権力の暴走を止めるストッパー』 が分かっていない人 パート3です。