自民党・保守系有志議員の『日本の尊厳と国益を護(まも)る会』(代表幹事・青山繁晴・参院議員)が、国民に女性天皇と女系のちがいを教えてやるそうです。
上から目線で。
ただそれをしたところで意味がありません。男系男子継承の維持にはつながらないから。という話です。
新聞の見出しから『啓蒙する』とか『啓発活動が必要』とか、大きくまちがっている人に上から目線で教えられる言われはありません。
イライラする気持ちをグッとおさえながら、可能なかぎり落ち着いて冷静に見ていきましょう。
なぜ、女性天皇と女系のちがいを知らないといけないのか?
自民党の保守系有志議員が、国民が女性天皇と女系のちがいを知らないといけないと思っている理由は世論調査にあります。
男系男子を維持すべき | 18.5% |
こだわる必要はない | 76.1% |
(時事通信調査(2019/11/8~11/11実施)より。)
自民党の支持層だけにかぎっての調査ですらこんな感じです。
男系男子を維持すべき | 25.7% |
こだわる必要はない | 71.9% |
しかも、『こだわる必要はない』と回答した人に具体的にどう見直すかについては
男系にこだわる必要はない (女系天皇を認める) | 94.6% |
男系は維持すべき (女性天皇は認めるが女系天皇は認めない) | 4.3% |
彼らにとっては許しがたい調査結果なんですね?
女性天皇と女系のちがいが分かっていない?
保守系の人がこの調査に怒るのは、『国民が女性天皇と女系天皇のちがいも分からないってどういうこと?』ということらしい。
その根拠となるデータはこれです。
よく理解している | 10.6% |
ある程度理解している | 33.4% |
あまり理解していない | 31.6% |
全く理解していない | 20% |
(産経新聞・FNN合同世論調査(2019/5/11~5/12実施)より)
ちがいが分かっている人は半分という結果でした。
と言いたいわけです。だから男系男子の継承の支持が広がらないんだと。
言いたいことは分かります。ちがいの分からない人に質問してもしょうもないですからね?
でも、ちがいが分かったとして、『だから男系男子の継承が正しい』は関係ありません。
時事通信の調査結果は今の日本人の常識です。『なにがなんでも男の血統』は拒否反応すらあるでしょう。
いま男尊女卑をここまで露骨に言う人はヤバいですから。
強引な男尊女卑への誘導
彼らのロジックはこうです。
女性天皇と女系天皇のちがいが分かってないから変な結果になる。
↓
ちがいを分からせる啓発活動が必要だ。
↓
ちがいが分かればこっちの意見になびくはず。
『啓発活動』というイラつきは置いといて、ちがいは分かった方がいいでしょう。
でも、ちがいが分かったらなんで、
男系男子の継承は絶対だ!
だから旧宮家の皇族復帰だ!
になるのか分かりません。彼らからすれば、
でしょうが、そもそも例外なくはウソっぱちです。
旧宮家の人は『男系の血統』でも、室町幕府3代将軍・足利義満(あしかが よしみつ)よりも天皇との距離がはるかに遠い人たちです。
こんな遠い人を特別扱いしたことは日本の歴史で一度もありません。
武士の足利尊氏(あしかが たかうじ)で有名な足利氏は第56代 清和天皇の息子からはじまる天皇の子孫です。
足利氏は天皇の子孫という格式の高い家でしたが、血統で特別扱いだから幕府を開いたのではありません。
力で勝ち取ったものです。武士だけに。
女性天皇と女系のちがいが国民に理解される。
↓
女系は日本の歴史で一度もないこと。
↓
男系男子の継承が正しい。
↓
旧宮家の皇籍取得がベストな解決策。
男系男子の継承が正しいってなる? 解決策が旧宮家の皇籍取得って何?
それも日本の歴史で一度もないことなんですけど。
どっちを選んでも日本の歴史で一度もないんだから、答えを変える必要はないし、男系男子の継承とはまったく関係ありません。
それなら常識のほうを取るのが筋ですよね? わざわざヤバい方(男尊女卑)を選ぶことはありません。
『啓発活動が必要』ってアレですか?
特定の現象を絶対化して、それが社会常識から大きくズレていて、それを啓蒙・啓発活動で広げるって、それってカルト宗教の布教活動ですよね?
(一部ウソも入れるとなおさら...)
だから、男系男子絶対教みたいなことを言われるんです。それを総理大臣が承りましたって言ってるんだから世も末。
(前々からそうなっていたが...)
笑顔ではないですが、『桜を見る会』で総理と写真を撮って、商売や自己顕示に利用している怪しい連中と同じニオイを感じます。
(ウサン臭い、おなじみの写真撮影。)
皇室がここまで汚されていいんでしょうか?
日本にとっては正念場です。国家がカルト化するのか? 常識を守るのか?
どれだけの日本人が耐えられるでしょうか? これからはじまる、国家権力がバックについたマシンガンのような自己啓発セミナーやカルト宗教の勧誘に。
(いまのところカルト化へまっしぐら。)