天皇の男系男子の継承は伝統じゃない!

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日本から天皇がいなくなる日 Vol.5

”保守”と呼ばれる人たちの中には、『男系男子継承は絶対に死守すべき伝統』だと言う人がいます。

しかし彼らのこの主張がそうでないことはすでに証明されています。どのような内容なのでしょうか?

男系男子の継承は伝統ではない

男系男子の継承を絶対死守するという人々は、いろいろなことを言いますが行きつく先はひとつです。

初代 神武天皇から現在まで男系男子の継承だけでつないできた。これが皇室の伝統だ。男系男子継承以外で即位した天皇は天皇ではない!

もうこれは、絶対に崩していけない確固たる歴史と伝統だと。

15年以上、皇位継承問題は語られてきましたが、ずーっと彼らの主張はこの1点張りです。

これを補強するためにいろいろな主張をまぜているのですが、これらはことごとく論破されてしまいました。

大坂夏の陣の大阪城みたいなものです。そして最後の本丸にも異論が出ています。

これから、初代神武天皇から繋いできた男系男子継承が絶対的な伝統でない理由を説明します。

まずは、いまの皇位継承のルールから。

1.皇統に属していること

先祖を見ていくと天皇につながる人のこと。歴代天皇の中で5世孫より離れた人が天皇になったことはない。

対象になる人は宮内庁所管の皇統譜(こうとうふ)に記載される。

皇統譜は天皇家の家系図。

世代の数え方(1世, 2世...)

『〇世』は、本人を1世として数える。5世は玄孫。

本人1世
こども2世
3世
ひ孫4世
玄孫(やしゃご)5世

『〇世の孫』は〇世孫のことで、本人の次(こども)を1世として数える。5世の孫は『玄孫のこども』。

『5世の人の孫』ではないことに注意。

本人-
こども1世の孫(1世孫)
2世孫
ひ孫3世孫
玄孫4世孫
来孫(らいそん)5世孫

2.男系であること

父親の父親、そのまた父親...と、先祖を父親でたどっていくとどこかで天皇につながること。

3.男子であること

現在は男子限定。女子は排除されている。

4.嫡子、嫡系であること

正妻の子であること。正妻以外との間に生まれた子供、その子孫は外れる。

5.皇族であること

いま皇室のメンバーであること。


たしかにこれを見ると、男系男子の継承が伝統に見えます。しかし実態はまったく違います。この条件は時代をさかのぼるとなくなっていきます。

明治の皇室典範

皇室典範(こうしつてんぱん)

明治22年、大日本帝国憲法と同時につくられた皇室のルールを定めた典範。

憲法の下の法律ではなく、憲法と同格のものとしてつくられた。

1947年(昭和22)、日本国憲法の発布にあわせて、いち法律として格下げされる。

明治の典範は国会・内閣に典範を改正する権限はなく皇族だけがもっていた。

戦後、いち法律になったことで国会と内閣に改正する権限が移る。皇族はいっさいタッチすることができない。

皇位継承などについても皇族はタッチできないので、自分の家について意見も言えない何もできないという問題点がある。

4番目の『嫡子、嫡系であること』はありませんでした。当時は側室の生んだ皇子も皇位継承権をもっています。明治天皇大正天皇の母親は側室です。

歴代天皇の皇后で4人に1人は男子を産んでいません。側室制度がなかったら4回に1回の割合ですでに皇統が断絶していたことになります。

男系男子の継承は側室制度とセットでないとムリです。

そしていま、側室制度の復活はありえません。これだけ不倫ごとき? でギャーギャー騒ぎ立てるぐらいですから。

皇后の実子だけが対象になったのは、戦後(昭和22年)に改正された皇室典範からです。

1.皇統に属していること

2.男系であること

3.男子であること

4.嫡子、嫡系であること

5.皇族であること

明治の皇室典範をつくるときにも『男系男子だけでは先細りするんじゃないの?』という意見がありました。

そのときは、『側室制度があるから大丈夫』ということで決着しました。

明治の人も分かっていました。

側室制度ありきの男系男子継承

ということを。

明治より前

さらに、3番目の『男子であること』がありませんでした。現実に8人10代の女性天皇が即位しています。

それに加えて2番目の『男系であること』もありませんでした。前近代の最高法規の養老律令継嗣令では、女帝の子に親王、内親王の地位を与えることになっています。ここでは女帝の夫についてなにも規制はありません。制度上は女系を認めていたことになります。

これが、古代から明治の皇室典範が公布されるまで、ときが経つごとに運用されなくなって忘れ去られましたが、最高法規として残りつづけました。

養老律令(ようろうりつりょう)

757年、孝謙天皇の時代に施行された律令。701年に成立した大宝律令の修正版とされている。古代。平安時代の半世紀前。

律令は、律(りつ。刑法)と令(りょう。民法、行政法)からなる憲法みたいなもの。

天皇の皇位継承のルールを定めた継嗣令(けいしりょう)もある。

男系男子の継承がはじまったのは明治の皇室典範からです。 『男系男子の継承の伝統は明治に作られ』ました。

養老律令は、平安時代にはすでにかたちだけのものになっていました。

そこから明治の皇室典範がつくられるまで、皇位継承のルールはあってもだれも守っていませんでした。

(忘れているのでそもそも知らない)

そのときの皇族や近くにいる権力者の判断次第です。

1.皇統に属していること

2.男系であること

3.男子であること

4.嫡子、嫡系であること

5.皇族であること

本当の伝統は直系優先

歴代天皇のなかには、男系よりも女系の直系が優先されて即位した天皇が2例あります。第38代 天智天皇第44代 元正天皇です。

天智天皇は歴史の授業で習ったあの中大兄皇子(なか の おおえ の みこ)です。元正天皇は女帝です。

2人とも天皇だった母親から皇位を継承しました。彼らは男系の血統も受け継いでいますが、男系継承『だけ』にするのは強引です。

当時の男性天皇は皇后のほかに複数人の妃がいるのは当たり前で、もちろん男系血統を受け継いだ皇子はたくさんいました。

でもこの2例は男系男子の継承よりも直系を優先したかたちです。しかも血統の濃さ・皇統の距離でいえば母親が天皇なので”男系”よりも”女系”のほうが強いです。

天智天皇の父親は舒明天皇です。しかし舒明天皇は天智天皇から数えて4代も前の天皇でした。4代以内の天皇の皇子はほかにもたくさんいます。

(天智天皇は、皇太子時代からライバルの皇子たちを追い込み、殺すくらいの権力闘争をしています。)

天智天皇がライバルより1つ抜き出ているとすれば『母親で先代の天皇の息子』という皇統の距離でしょう。

また元正天皇の父方の祖父・祖母は2人とも天皇です。天武天皇持統天皇です。母方の祖父は天智天皇です。しかし父親は天皇になれなかった草壁皇子です。

元正天皇にも、天皇の男系の血筋を受け継いだライバルの皇子がいました。それでも元正天皇がライバルたちより1つ抜き出ているところは『母親で先代の天皇の娘』という皇統の距離です。

もし男系男子が優先されるなら、女性のハンディキャップをすべて吹き飛ばして即位したことになります。そのように考えるのはムリがありすぎでしょう。

男系男子の優先ということ自体が、あまり重要視されていなかったというのが自然です。

このように、天皇の皇位継承を血統から見た場合、”男系”が伝統ではなく”直系”が伝統といえます。

もちろん『直系が男系になる』ことは否定しません。

ここで1つ説明が必要です。当時の”男系”のなかにはランクがありました。

天皇の妻のランクです。上から、

  • 皇族出身
  • 有力な豪族出身
  • その他

です。もちろん皇后になるのは1番上のランクの皇族出身です。このランクが天皇の子供たちの皇位継承の順序になっていました。

ここで重要なのは『ランクの低い息子よりもランクの高い娘が上位になる』ということです。男系と言いながら女系のランクが大きく影響しています。

けっきょく、

男系のランキングを決めているのは女系の血統

です。

これって男系継承ですかね?おもいっきり女系の血統で決まってるんですけど。

男系と女系の二つがそろって決まるので双系(そうけい)といいます。

当時は天皇の男系を引き継いだ皇子がたくさんいました。だれが天皇になるのか争いが絶えません。それを抑えるために”直系”という”男系”よりも優位なものが必要でした。

125代の天皇の中で傍系の人物が天皇になった例はあります。しかしそれは、直系で天皇になる人材がいなかったときです。

やはり、

天皇の皇位継承はできるかぎり直系を優先するのが伝統。そこには女性、女系は排除されていない。

とするのが自然です。

いまでいえば、

愛子さまは皇室の伝統からいえば皇位継承権をもっても問題はない。

(愛子さまは皇太子になってもいい)

ということです。

こんなに縛りの多い皇位継承の条件はたかだか130年程度

このように男系男子の継承は伝統でないことが分かります。実はこれだけ厳しい縛りのある皇位継承のルールは、1400年の天皇の歴史の中で130年程度にすぎません。近代に入ってから男系男子継承をルールにしました。

それまでの条件は、

  • 皇統に属すること
  • 皇族であること

の2つです。女系天皇、女性天皇も制度上は可能でした。これにあえてこれまでの皇位継承の優先順位を加えるなら、

直系優先。男系とか女系とか関係ない。男女に区別もない

です。これで男系男子の継承は伝統だという根拠はなくなります。

男系男子の継承がベストだというならその根拠をぜひ提示していただきたい

これまで男系男子継承を死守する人たち、いわゆる”保守”の主張を否定してきましたが、ぼく自身できるなら男系男子の継承がベストだと思っている人間です。

(1400年の歴史の中で男系男子の継承が多いのは事実なので)

しかしいまの皇室の方々には、次の世代に天皇になれる人材がたった一人しかいません。そのほかはすべて女性です。この状況では不可能だという結論になりました。

男系男子の継承が絶対に死守しなければならないのなら、その根拠をぜひ示してもらいたいのですが、彼らはそれをしようとはしません。

ひたすら『それが伝統だ。伝統だ。伝統だ』と叫ぶだけ。

この行動はぼくの知るかぎり10年前からまったく変わっていません。本当にその『伝統』の根拠があるなら、神武天皇からみると2600年も歴史があるのだからいくらでも出せるはずです。

彼らのいう『伝統』には根拠がないと判断します。

そして最近の彼らは、自分たちの主張の根拠を示さないだけでなく、脅し文句を付け加えるようになっています。

一度女系継承を認めると、二度と戻れなくなる

もう議論の前提となる論理のかけらもありません。

彼らの主張の手法は、歴史認識で論破されたときの韓国人や中国人の行動とそっくりです。論理が破たんすると『感情』だけで訴えてきます。

”保守”の人々は、普段はその手法を先頭を切って批判します。それなのに、まったく同じことをしているということにも気づかないくらい思考がおかしくなっています。

これ以上議論する必要はないでしょう。

ついに”保守”の人々は皇族方を差別し始めた

いままで強硬に主張してきた論理が破たんしてきた”保守”の人々は、最近このようなことを言いはじめています。

旧皇族家系の男性を未婚女性の皇族方の婿として皇族に入れる。

旧皇族家系の家に生まれた赤ん坊を養子として皇族に入れる。

旧皇族家系の家に生まれた赤ん坊だけでなく、その親も養子として皇族に入れる。

もう議論をするとかそういうレベルではありません。こんな低知〇バ〇の主張は主張とは言いません。

彼らは、未婚女性の皇族方の人生を何だと思っているのでしょうか? 彼女たちには自分の人生のパートナーを選ぶこともできないのでしょうか?

皇族方はいまでも相当人権がおさえられています。ほんとうならもっていいはずの『基本的人権』すらまともにもっていません。その彼女たちに残された数少ない自由をさらに奪おうといっています。

また、赤ん坊を養子に入れるという両親の気持ちと受け入れる側の気持ちを無視した発想は、アイディアではなく悪魔の所業です。

この批判に対する反論として、それなら赤ん坊の両親も皇族にしようと言いはじめました。これはもう、皇統に属すること』『皇族であることでさえ無視した物言いです。

天皇が天皇である最低条件でさえなくなりました。何がしたいのかさっぱり分かりません。

さらに彼らは、天皇の直系に次のなり手(女性)がいるのに、傍系男子を優先させて天皇になれるように皇室に入れるという、天皇の歴史上例のない傍系男子優先を掲げています。

”保守”が伝統をかえりみず、気づかないうちにとんでもない伝統破壊をするというこの状況は、ジョークだとしても笑えません。

もう”保守”とかそういう次元ではありません。彼らの主張は思想でもなく、公の場で何かを語る資格すらありません。

彼らは『言論の自由』を勘違いしています。公の場で、自分の都合で、なんでもかんでも言えばいいというものではありません。

『言論の自由』は、公の場に耐えられるように考えに考え抜いて論理を組み立てて、それを公論として世に問うという、最低限のルールがあって初めて成り立つ『自由』です。

そして公論は、世に問うた賛否の反応を持ち帰って持論を再点検し、再構築させながらレベルアップさせて、改めて持論を公論として披露して、さらにレベルアップを図るという言論、思想、哲学の成長の場です。

しかし彼らの物言いは、”俺こそが歴史を知っている。知らないお前らは黙って聞いておけ”というおよそ公論とは程遠い姿勢です。

彼らの言うことは”忖度”して世に出すのを止めましょう。

このような”保守”に支えられた安倍総理を含め、それを支持する自民党議員も、自分の都合で聞くに堪えない言葉を公に垂れ流し、自分の都合で行政を利用するその姿勢には、国民に選ばれて公に関わる資格がないことは誰の目にも明らかなのではないでしょうか。

何も知らない国民は気づかぬうちに重大な罪を着せられている!

安倍総理を筆頭に自民党議員たちは、それでも旧皇族家系の人間を皇室に入れるため、現在の女性皇族方が結婚されて皇室を離れるのを『あえて何もせず国民に知られないように黙って待つ』という暴挙に出ています。

日本国民は惨状を放置しますか?

このような総理、政府与党を支持しますか?

モリカケ問題のほうがそれよりも大事ですか?

憲法改正のほうが優先順位が高いと自信をもって言えますか?

この状況を知らない国民というのもほぼ絶望的と言わざるを得ません。まぁ、そもそも天皇制反対なのであれば理解できますが。

ただ、天皇制を廃止して大統領を置く共和制を採用するにしても、本来は『黙ってそうなるのを待つ』ではなく、国民的な議論が必要だと思います。

2018/4/12追記

森友問題、加計学園問題は、天皇の皇位継承問題と同列に扱わないといけない状況にまでなってきました。

『国の形』『法治国家』として放置できないほどの問題を抱えているからです。

この問題を、今までと同じように『なんとなく忘れる』『なんとなくやっていける』としたら、日本が中国が北朝鮮のように『人治国家』になるのを日本国民が認めたことになります。

主要メディアが『黙ってる』ことは自死に等しいのでは?

これは新聞、TVの主要メディアの責任が重大だと思います。2016年の天皇陛下のビデオメッセージが出て以来、主要メディアの関係者は、この皇位継承問題、それに対する政府の対応の詳細を知っているはずです。

天皇制が消滅するのを待つのか?

安定的な天皇制のを存続させるのか?

共和制(大統領制)に移行するのか?

日本のメディアがやらなくて誰がするのでしょうか?

普段これでもかというくらい『国民の知る権利』を声高に叫ぶのに、『黙っておこう』という態度はそれに反するのではないですか?

ネットメディアに押されていると言われますが、資金力、取材力は圧倒的に勝っているはずで動けばすぐに情報は取れるはずです。

(もしかすると情報はすでに持っているのに出していないのか?)

期間限定で存在する現内閣が終わってもメディアの使命は終わらないんですよ?

いつ方向性が変わるか分からない、世間の空気や大人の事情に、自分の存在理由を委ねてもよいのでしょうか?

ぼくにはボコボコにやられて失意のどん底まで落ちた、あの1945年の敗戦の責任を問われたのと同じことをしているように見えるのですが。


なぜ黙るのか想像できます。選挙になると、新聞・テレビにえげつない広告費を投入するのは与党・自民党です。

新聞・テレビのメディアからすると定期的に何十億円、下手すると100億越えのお金を払ってれる上客です。

上客の不都合な部分はしゃべらないですよね? ぼくも会社員ならしゃべりません。だって何も起こさなければ平均収入の数倍の報酬がもらえるわけで。しかも会社員として。

(日本の税制上・社会保障上、会社員で高給取りが一番いい。)

でも、彼らは会社員と同時にジャーナリストです。世の中で起きていることを報道するのが使命です。それが『メディアの会社員の仕事』です。

彼らは上客のために仕事をサボっています。サボりつづけることで高給がもらえます。

そんな人たち世の中に必要?

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大相撲の女人禁制と天皇の男系男子継承は根が同じ
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天皇・皇室の本
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『天皇について基本的なことを知りたい』『過去の天皇の人物像を知りたい』という人におすすめの本を選びました。

内容がかんたんで頭に入りやすく、でも内容が薄いわけではありません。むしろ濃いくらいです。

日本人なら知っていてほしい天皇・皇室の基礎知識だけでなく、外国の人に説明できるくらいの知識が身につきます。

文章が苦手な人にはマンガ本もあります。


天皇の本10選

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