ご覧のページは 9 / 9 です。先頭ページはこちら。
苗字(みょうじ)は江戸時代にはじまる
苗字は江戸時代にはじまります。苗には『遠い子孫』という意味があり、そこから『自分の家が子々孫々つづきますように』という願いを込めて、苗字をつけるようになりました。
これには時代背景があります。当時の武士階級は、徳川将軍家のさじ加減でお家断絶や転封など自分の家が安定してつづけるのがむずかしい時代でした。
その中で自分の名前に苗字として願いを込めたのでしょう。
転封(てんぽう)
徳川将軍家が大名を別の土地へ国替えすること。
大名に罰を与えるために行うこともあった。
貴族、武士以外はどうだったの?
江戸時代は、貴族・武士以外が苗字をもつのは許されませんでした。氏姓や名字のように名前をもつのが特別なことだったので、苗字も特権だったのでしょう。
いつ始まったのか分かりませんが、商人であれば屋号(やごう)がありましたし、その他の農民や漁民なども周りの人と区別するための字(あざな)をもっていました。
人間が集団で生活するわけですから、こういうものは自然と生まれるものですよね? 今でもあだ名とかつけますから。
個人的には『あだ名』の語源は『字(あざな)』が何らかの形で入ってるんじゃないかと思う。
国語にくわしい人いないかな?
いまは、姓、氏、名字、苗字に違いはない
いまは姓・氏・名字・苗字に違いはありません。明治の近代化で統一しました。
もともと日本人は自分の名前に執着していませんでした。複数の名前をもつのが当たり前だし何かあるたびに名前を変えていました。
- 元服したら変える
- 別の土地に引っ越したら変える
- 出世するごとに変える
- 嫌なことが起きると縁起がいい名前に変える
- 長男じゃないので独立して名前を変える
- 相手の立場によって使い分ける
近代は国民国家です。国民ひとりひとりを特定して、納税や軍役など個人が国家に対して責任をもつのが基本です。
もちろん、名前がなかったりコロコロ変えたりするのは不都合です。だから今は、『姓名』、『氏名』、『名字と名前』は同じで、国民は必ず氏名があります。
(苗字は絶滅した。)
このように、日本語には人の名前を表現する言葉がたくさんあります。
- 『姓名』判断
- 『氏名』・年齢
- 名字と名前
見事に『姓(せい)』『氏(うじ)』『名字』を使い分けてますね?
日本人なら感覚的にわかっているところです。『氏名判断』『姓名・年齢』『姓と名』『氏と名』とは言いませんから。
『姓と名』は使う気もするがなじみがない。
氏名 | フルネームのこと。 文書にフルネームで書く欄は『氏名欄(シメイ)』。 |
姓名 | 氏名と同じフルネームのことだが、文書に書くときな ど名字と名前が分けられるときに使う。 『姓欄 (セイ)』 『名前欄 (ナマエ)』 『姓・名欄(セイ・メイ)』 |
名字と名前 | 名字と名前が完全に独立したときに使う。 『名字が変わる』 名前はフルネームでも使う。 |
- P1 氏姓はどこからきた?
- P2 姓(せい、かばね)は天皇からもらうもの
- P3 先生の中国王朝は姓をもつことが大事
- P4 氏(し、うじ)は自分から名乗ることもできた
- P5 なんで頼朝は本名なのに、尊氏と家康は違うの?
- P6 将軍は源氏しかなれない
- P7 名字(みょうじ)は平安時代にはじまる
- P8 名字から氏へ、そして姓をもらうストーリー
- P9 苗字(みょうじ)は江戸時代にはじまる