連載
日本から天皇がいなくなる日 Vol.2
皇室の皇位継承問題で、男系・女系・男性・女性天皇をよく聞きます。でも、これの区別が分かる人は少ないでしょう。
これをひとつずつ見ていくと天皇の皇統・血統の考え方が見えてきます。
ちなみに双系(そうけい)というものもあります。ほとんど聞こえてこないですが。
男系・女系天皇と男性・女性天皇の意味は違う
男性天皇は性別が男の天皇です。女性天皇は性別が女の天皇です。
あたりまえですね?
しかしここで注意が必要なのは、男系・女系天皇は本人の性別は関係ありません。男系・女系は『親が皇族かどうか』です。
男系には男性天皇・女性天皇がいます。女系にも男性天皇・女性天皇がいます。
父親をたどると天皇がいるときは男系
父親が天皇だった天皇は男系天皇です。
父親が天皇でなくても、その父親そのまた父親をたどって天皇にあたれば男系天皇になります。
日本の歴代の天皇は126代存在してきましたが、すべて男系です。
母親が天皇の場合は女系
母親が天皇だった天皇は女系天皇です。
女系天皇は126代の天皇のうちたった2例です。
平安時代になって、藤原氏から天皇に嫁を出すようになるまでは、皇后は皇族出身が当たり前だったので、女系天皇はたくさんいました。
(2例には歴史上、事実の部分だけを入れてます。それ以外は事実として確定できないほど古い。また多すぎて挙げれない。)
ややこしいのは、藤原氏にも天皇の子孫がたくさんいます。(女系子孫)
天皇の娘や孫などの嫁ぎ先になっていたため。
たとえば、藤原道長(ふじわら みちなが)のお祖父ちゃん・藤原師輔(もろすけ)は、天皇の娘・内親王を3人も嫁にもらいました。
(ここまで嫁にもらったのは異例。)
『藤原氏は天皇の親戚』は知られてますが、天皇の子孫だということはあまり知られてません。
父親、母親がどちらも皇族の場合は双系
生まれながらの皇族が両親の天皇は双系天皇です。飛鳥・奈良時代までは近親結婚があたりまえだったので双系天皇がたくさんいました。
その後は有力貴族から妻を迎えるようになり双系天皇は減っていきます。しかし、宮家から迎えることもあったのでゼロではありません。
ほとんど注目されませんが、天皇の母の血統を見たとき、天皇の血を受け継いだ人がたくさんいます。
彼女たちは天皇に即位してませんが、れっきとした天皇の子孫。
あまり知られないのは、
天皇は男系の血統でつづいてきた
という言葉が溢れていて、正しいと思われているから。これには、
- 女系血統もいるよ!?
- 男系よりも女系の血のほうが濃い場合もあるよ!?
- 男系の傍系よりも女系の直系が優先された時代もあるよ!?
という言葉を返すしかないですが。
天皇は、男系の血統だけでつづいてきたわけではない
男系・女系・双系と男性・女性の組み合わせを知ることが大事
男系・女系、男性・女性天皇のちがいは、〇系と〇性の組み合わせをみると分かります。ひとつずつ見ていきましょう。
1.双系男性天皇
生まれながらの皇族が両親の天皇のこと。または、両親のどちらも先祖をたどっていくと天皇がいる。
男系男子の天皇といわれている人の多くが双系男性天皇。
ただし正確な数はわからない。理由は、
- 平安時代より前は皇族同士の結婚の方がふつう
- 平安時代よりあとも天皇の子孫の妻がたくさんいた
- 明治天皇まで側室がいたので、天皇の妻の全員の血統を調べるのは絶望的
だから。
2.双系女性天皇
生まれながらの皇族が両親の女性天皇のこと。または、両親のどちらも先祖をたどっていくと天皇がいる。
歴代天皇のなかでは3人だけ。
(確実に分かってるのは。)
3.男系男性天皇
生まれながらの皇族が父親の天皇のこと。または、父のそのまた父とたどっていくと天皇がいる。母は皇族・民間人関係ない。
126代の天皇のうち、女性天皇10代をのぞいた116代の天皇は男系男子天皇。
そのうちの多くが双系男性天皇でもある。
4.男系女性天皇
生まれながらの皇族が父親の女性天皇のこと。または、父そのまた父とたどっていくと天皇がいる。母は皇族・民間人関係ない。
歴代の女性天皇の全員があてはまる。
(8人10代)
5.女系男性天皇
生まれながらの皇族が母親の男性天皇のこと。父親は皇族・民間人関係ない。
歴代天皇では第38代 天智天皇(てんじ)だけ。天智天皇は歴史の教科書にでてくるあの中大兄皇子(なか の おおえ の みこ)。
ただし、天智天皇は父も天皇(第34代 舒明天皇)。
男系であり女系であり、双系でもある男性天皇です。しかし、皇位は母の第37代 斉明天皇から継承しました。
当時は天皇になれるような皇子はたくさんいました。その中で選ばれたのが
母から皇位を継承した
天智天皇です。男系継承よりも直系継承を優先した例です。このときは直系=女系。
もし愛子さまが皇太子になって、結婚して男の子が生まれるとき、愛子さまの次の天皇は女系男性天皇になります。
今後、女系男性天皇が男系であり双系になることはほぼありません。いまでは近親結婚は行われないからです。
6.女系女性天皇
生まれながらの皇族が母親の女性天皇。父は皇族・民間人関係ない。
歴代天皇では1例だけ。第44代 元正天皇は父が天皇ではなく、天皇だった母から皇位を受け継ぎました。
ただし元正天皇は、男系でもあり双系でもある女性天皇。
元正天皇の父は天皇にはなりませんでしたが、皇太子だった草壁皇子(くさかべ の みこ)。
当時は天皇になれるような皇子はたくさんいました。その中で選ばれたのが、
母から皇位を継承した
元正天皇です。男系継承よりも直系継承を優先した例です。このときも直系=女系。
もし、愛子さまが皇太子になって結婚して女の子が生まれるとき、愛子さまの次の天皇は女性でもOKとなっていれば、女系女性天皇になります。
今後、女系女性天皇が男系であり双系であることはほぼありません。さっきも言ったように、いまでは近親結婚は行われないからです。
双系を言う人が少ない...
新聞、TVなどの主要メディアでは、双系はほとんど聞きません。
日本の主要メディアでは、皇室に関するコメントをする人は次のような人たちばかりです。
- 皇室の存続の危機に対して本音ではどうでもいいと思っている
- 男系男子以外は絶対に許さないという意見を持っている
- 意見を言うとなんか恐いから言わないというヘタレの姿勢。(ほんの数年前までいろんな団体が嫌がらせをしていた)
- 意見を言うと干されて食えなくなるからというヘタレの姿勢
- 皇室のことを言ってもいいことないから言わないというオトナの姿勢
双系はなぜ知られていないのか?
このなかで、男系男子以外は絶対に許さないと主張する人たちは、すべての双系の天皇を『男系』だと主張します。
歴史の事実として天皇の子孫の母をもつ天皇がいるのに。
双系天皇の母が皇族だった事実は無視されています。なぜ、男系絶対の人たちは母が皇族だった事実を隠すのでしょうか?
そこには彼らの主張が
皇統は男系でつないできたことが伝統で天皇の天皇たるゆえん
にあるからで、ウソは言っていないけれど本当のことは言わないというセコイ手を使っています。
この大事な問題に対して、セコイ手で真摯な議論をしないところに彼らの不誠実、不見識さが見えます。
あと、安倍総理を支持する『保守』といわれる人たちも、男系以外は絶対に許せないという人たちです。『日本会議』という団体が中心です。神社本庁もその中にいます。
(組織の人ぜんぶとは思っていません。あしからず。)
なんとなく ”双系” が主要メディアに出ない理由分かりませんか?
今、新聞、TVの幹部の人、一部のジャーナリストが安倍総理と食事してお友達になっています。友達にとって嫌なことを言う人は出したくないでしょう。当然”双系”という言葉自体浸透することもありません。
安倍内閣の暴走っぷりが目に余るので、そろそろ 双系 という言葉が出てくるような気はしますが。
面倒だからダンマリしている人が、いちばん多いんじゃないかと思っています。
メディア関係者ってまちがいなく高給取りですから。面倒起こしてそこから外れると格差社会の下層に一直線に落ちますからね? よっぽど才能がない限り。
でもこれっていいんですかね? メディアの仕事って、庶民が忙しくて知ることができないことを代わりに調べて知らせることでしょ?
なんのための高給取りなの? 仕事していないのに。
まずは、皇統問題が一発でわかる図解を用意しました。
衝撃の未来を見たところで、この15年、皇室になにがあったのか、政治がなにをしてくれたのか?
細かいはなしはちょっとにして流れだけを追ってまとめました。皇室に何が起きていたのか、よく分からない人はどうぞ。
流れを見ると、保守の人たちの主張に疑問しかありません。正しい意見ならこんなことしなくていいですから。
彼らは自分のまちがいを認めると、生きていけなくなるからやってるとしか思えません。
死んでしまうようなことをしてきたからダメなんですが。
- Vol 1. もうすぐ日本から天皇がいなくなる
- Vol 2. 天皇の血筋の男系・女系・双系のちがい。本人の性別は関係ない!
- Vol 3. 天皇の皇位継承の解決策は既にある。あとは選ぶだけだ!続けるも決断、止めるも決断。
- Vol 4. 旧皇族家系の人が皇室に復帰することがありえない理由。もう言葉遊びはやめてほしい。
- Vol 5. 天皇の男系男子の継承は伝統じゃない!作為のルールは永遠だと思ってるの?
- Vol 6. 大相撲の女人禁制と天皇の男系男子継承は根が同じ。明治の近代化の影響が大きい。
- Vol 7. 天皇の男系男子継承の伝統はいつ始まったのか?男系主義の元は中国からの輸入品。
- Vol 8. 政治家の15年のサボタージュが皇室を滅ぼす。それでもサボりは続く。
- Vol 9. ちょっと潮目が変わる兆しが
- Vol 10. 第2の玉音放送 - 生前退位 - 令和の新時代。歴史の貴重な目撃者になってますよ?
- Vol 11. 皇室はこれからどうなるか?の前にこれまでをおさらい
- Vol 12. 保守は上皇陛下(平成の天皇陛下)のなにがムカつくのか? 陛下にケンカ売ってどうするよ。
- Vol 13. 衝撃。男系継承をいう人は皇室消滅を考えてると断定していい
- Vol 14. 図で見りゃわかる。皇統問題は今すぐ解決できる!
- Vol 15. 天皇は女性から始まっている!
- Vol 16. ランキング付け。各党の皇位継承問題の解決案がそろってきた